フィトンチッドってなあに?

フィトンチッドとは?

 自ら移動することができない樹木は、外敵からの攻撃や刺激を受けても避難することができません。 

  その為、自分自身を守る手段として、傷ついたときに病原菌に感染しないように傷口を治したり、害虫などを寄せ付けないように

「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性物質を放出しています。

  枯葉などの腐敗物や野生動物が多く存在するにも関わらず、森林の空気が常に清潔に保たれているのは「フィトンチッド」のもつ

強い除菌力・消臭力によるものなのです。

 また、人が森林浴をすると体が元気になったり心が安らぐのも、呼吸で体内に取り入れた「フィトンチッド」の効果であることが

近年明らかになってきました。

 「フィトンチッド」は樹木が何千年もの間、生き続けることができる生命力の源であるといわれています。

植物の不思議な力=フィトンチッド

空気を浄化する ①悪臭を中和分解する

森林に行くと、悪臭の原因となる動物の死骸や枯れ木などがあるにもかかわらず、爽や

かな空気が広がっています。

フィトンチッドには、空気を浄化したり、悪臭を分解する働きがあります。

空気を浄化する ②環境を整える

フィトンチッドは環境を整えます。

爽快感のある清々しい空気は、現代人のストレスを和らげ、身も心もリフレッシュさせ

る効果があります。

 ・リモネン   柑橘系の果皮に多く含まれる 

 ・リナノール  ラベンダーやベルガモットに多く含まれる

 ・メントール  ハッカ臭

 ・シトラール  レモン臭

 ・テアニン   茶の旨み成分

強い毒(殺菌力)で身を守る

フィトンチッドには細菌やバクテリアにとって有害な物質が含まれています。

 ・ヒノキチオール  ・αーカジノール     

 ・クマリン     ・αーピネン

苦みや辛味で食べられるのを防ぐ

植物は、害虫に食べられないように、苦味や酸味、辛味などでからだを守ります。

 ・カテキン    苦み    

 ・カプサイシン  辛味

 ・チモール    舌をやくような味

臭いで害虫を追い払う

フィトンチッドには、害虫が嫌う臭いの成分が含まれています。

 ・カンファー(樟脳)

太陽(紫外線)から身を守る

植物は、種を紫外線から守る為にポリフェノールなどの「抗酸化物質」をつくります。

 ・オイゲノール   ・カロテン

 ・アントシアニン


生活の知恵にみるフィトンチッド

食べ物の鮮度保持に欠かせないフィトンチッド

木の葉は、食べ物の保存に数多く利用されてきました。例えば、桜餅や柏餅、柿の葉寿司です。

桜の葉には「クマリン」という強い抗菌力を持った物質が含まれています。

おにぎりを包むのに竹の葉が使われたのも、フィトンチッドの働きを利用したものです。

 ・ちまき   ・桜餅   ・柏餅     

 ・鱒寿司   ・柿の葉寿司

住まいに活かされているフィトンチッド

家を建てるときに、檜葉や檜、杉などを使うのは、木が放出するフィトンチッドに、シロアリや

ダニ、蚊、カビを寄せ付けない成分が含まれているからです。

例えば、青森ヒバには抗菌性に優れた「ヒノキチオール」が多く含まれています。

檜で建てられた法隆寺や薬師寺の塔は1300年経った今も維持されています。

「楠のタンスは防虫剤いらず」楠には防虫や防腐作用を持つ物質がたくさん含まれています。

 ・総檜葉造りの家   ・楠のタンス

 ・檜建築の法隆寺や薬師寺の塔

お寿司屋さんを覗いてみれば…

お鮨のネタをのせる椹(さわら)の葉には、強力な酸化作用をもつ「ピシフェリン酸」が含まれて

います。飯台に使われている檜には、抗菌作用を持つ「カンファ」「αーピネン」「リモネン」

「カジノール」。

お鮨に欠かせない、山葵、生姜、お茶にも抗菌成分が含まれています。

 ・椹の葉   ・飯台   ・まな板    

 ・わさび   ・生姜   ・お茶

多様化するフィトンチッドの利用方法

植物が持つ力。「消臭」「殺菌」「防カビ」「抗ウイルス」「抗酸化」などの能力は、暮らしの中

でいろいろなものに利用されています。

植物の香りの成分には、ストレスを和らげる「癒し」の効果があります。

 ・癒し ・安眠   アロマオイル  お香

 ・除菌消臭剤    ヒノキ消臭剤  洗剤

 ・健康食品     カテキン茶   青汁  サプリメント

 ・植物栄養素    玄米  雑穀米  スムージー

 ・薬        漢方薬  香辛料

 ・美容       米糠化粧水  育毛剤  入浴剤

 ・塗料 ・染料   漆塗り  藍染

 その他、酸化防止剤 防虫剤 など


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